みなさん、こんにちは EMBAUMER です。
メリノウールとは・・・
羊は全世界で約3,000種以上存在しますが、その中で最も良質な羊毛(ウール)が得られる羊の品種が「メリノ種」と言われています。メリノ種は12世紀にスペインで発祥した羊ですが、現在は、オーストラリアとニュージーランドが主産地です。このメリノ種から得られる羊毛(ウール)が「メリノウール」です。
ウールは保温性と吸湿性に優れ、登山用・防寒用の衣類に数多く使われていますが、ウールには肌ざわりがチクチクとする欠点がありました。
その原因は、ウール製品の繊維の直径が太いためです。一般的に1本の繊維の太さが30μmより太いものが含まれていると、肌に対しチクチク感があると言われています。
一般的なウールの繊維の直径が24~42μm前後なのに対して、メリノウールの直径は約半分ほどの細さなので、肌ざわりがよくチクチク感をほとんど感じさせません。 動物繊維の中でも高級とされるカシミヤ(カシミヤ山羊)の繊維の直径が12~20μm前後なので、それに近い細さだと言えます。
メリノウールのランク
メリノウールはウールの中でも高品質なものとして認識されていますが、メリノウールの中でもランク付けがあります。繊維の太さによってランク付けされ、より細い繊維が高品質品とされています。
高品質なエクストラファインメリノやスーパーファインメリノは、商品タグにそのグレードを表記されているケースが多いようです。
エクストラファインメリノ 直径17μm前後
スーパーファインメリノ 直径19μm前後
ファインメリノ 直径21μm前後
ストロングメリノ 直径24μm前後
メリノウールの特徴
柔らかな肌触り感
上質なメリノウールは、繊維の径が細いためチクチクせず、カシミヤに匹敵するほどの柔らかな肌触りの着心地感を与えてくれます。
優れた吸湿性
身体から出る汗は、「気体」と「液体」として存在するものがあり、気体の状態の汗を吸い込むことを「吸湿性」と言います。メリノウールの繊維の表面には、「スケール」と呼ばれる鱗状の構造があり、このスケールが服の内側で発生した気体の汗に反応して開き、繊維の内側に湿気を取り込んで大気中に放出します。スケールは温度や湿度によって開閉を繰り返し、温度と湿度を一定に保つので保温性と吸湿性に優れています。
汗を弾く保温性と防汚性
メリノウールの繊維の表面にあるスケールには油分があり水を弾く性質があります。汗で濡れてしまっても繊維の内側に汗をため込みながら、繊維の表面はドライに保ってくれます。それにより汗冷えが起こらず保温性を保ってくれます。また、水溶性の汚れも弾きますので、防汚性があります。
抗菌防臭性・静電気防止性
メリノウールは動物性天然繊維のため、免疫作用による抗菌作用が備わっており、悪臭の原因となる細菌の増殖を防ぎます。加えて、臭いの元となる分子を繊維内に封じ込めるため、防臭性にも優れています。
メリノウールのお洗濯
エクストラファインメリノのウールセーターを洗濯します。
素材 : 毛100%
このセーターの洗濯表示は次の通りです。
洗濯タグの指示通り、裏返して洗濯ネットに入れ家庭用縦型洗濯機で洗濯します。
洗濯コースの設定
洗濯表示(40℃上限 洗濯機弱)に従って「おしゃれ着コース」を選択
洗い4分 → すすぎ(注水)2回 → 脱水2分 (全行程40分)水量(各工程)36L
水温 : 常温(水道水)
使用洗剤・柔軟剤の選択
水量36Lに対し
中性洗剤『LESSIVE』 フルール ドゥ ジャスミン 30ml
柔軟剤『Assouplissant』 フルール ドゥ ジャスミン 20ml
洗剤と柔軟剤をセットします。
メリノウールセーターを入れる。
ジャスミンのいい香りに包まれながら洗濯中。
ジャスミンのいい香りを漂わいながら、平干しハンガーを使って日陰で平干し 。
洗い上がり後、新品(左)と比較。 各サイズに収縮なし、弾力性も変化なく
ピリング(毛玉)の発生も見られません。
柔軟剤の効果で柔らかくふんわり香りよく仕上りました。
今回のメリノウールセーターは、洗濯表示通りに家庭洗濯機の「おしゃれ着コース」で洗濯すれば問題なく洗濯が出来ました。
ウール製品は、水洗いすると縮んでしまうという固定概念を覆した繊維加工技術の進歩を実感しました。
<作成・編集>
アンボメー株式会社
クリーニング師・繊維製品品質管理士(TES)
芝田 豊治
<記事監修>
アンボメー株式会社
代表取締役 CEO
片岡 友美